最近は、肩と首がまた怠くなってきました。つい先週までは調子が良かったのに、体の変化についていけません。というのも、6月末に新しい車椅子が届きました。座面のクッションも同じ形の新しいものに変わりました。クッションは、私がずっと座っているために、同じところばかりが沈んで変形してしまいます。座り心地が新しくなり、慣れないせいで体が痛くなり、なんとか背当てのクッションの位置を調整すると、数日後に見違えるように体の具合が良くなってきました。そして、また首の調子が悪くなって…。原因は、おそらく、調子に乗って片道40分くらい車椅子を操縦していたことだと思います。地下鉄に乗らずに、自分のペースで歩いていく気持ち良さ。そして、今回の車椅子は、6年前のものよりも数倍に質が良くなり、電動の動く感度が滑らかになり、さらに、段差や凸凹を越える時の衝撃が、前より感じなくなりました!だから、余計に外出したくなったのです。
さて、東京旅行の続き。スカイツリーまで歩いて10分のところにある「さいとう工房」さんに行ってきました。目的は、「レルシリーズ」という足や腰、背中を自由に起こしたり倒したりし、低い机に足を入れたり、急な坂道も楽な姿勢で快適に走れたり、そして、なんと、自由に寝る姿勢や足を上げてストレッチできる電動車椅子に乗ることです。さらに、電動車椅子の座面の下には、12個ものサスペンション(衝撃を和らげるクッションやバネ)が入っており、段差を乗り越えてもほとんど体に負担がありません。また同じ場所で360度回転できるため、狭い廊下や部屋の中でも楽に動けることも大きな特徴です。

今回は写真だけですが、次回は動画を編集してなんとか載せたいと思います。
この写真に載っている車椅子で、外を歩いてみました。

平坦な道だけでなく、横に斜めになっている道や、ボコボコしている橋の上を渡りました。さいとう工房に高校卒業後から働いている瀬尾さん(まだ2年目なのに機敏な動きと知識を持つ頼もしい人)に連れられて、「ここを進んでください。」と容赦無く、荒い道を案内されました。通りながら「ここは、普通の電動車椅子で走ったら、横に倒れて池に落ちたんですよね。」と話しをされましたが、全くそんな危険性を感じず、車椅子がバランスを取ってくれているように感じました。まるで、馬に乗って歩いている感じで、馬の上にいることを想像すると揺れが大きいように思いますが、馬がバランスを取って落ちないようにしてくれます。

いつもの車椅子だと、段差を見ると構えてしまって、どう段差を乗り越えたらいいかを考えています。この車椅子は、走行中はほとんど瀬尾さんとの話に夢中で、段差に構わずに過ごせるほど、乗り心地が良かった!まるで本当に歩いているようでした。

斎藤社長は、毎月車椅子ユーザーや様々なゲストを招いて、意見交換の場を作っています。障害者に可能性を広げたい、日々生活する部屋の中でスムーズに動き、楽な姿勢で働き、外出やスポーツなど、あらゆることをできるようにしたいと、日々障害者の生の声を聴こうとしています。パキスタンや他のアジアの国へ古い電動車椅子を送ったり、修理する技術を教えたりしています。
そして、斎藤社長をはじめ、逆さや横になっている車椅子をじっと見つめて、部品を組み立てているスタッフの方々の力強さ、人のために自らの技術を生かそうとする頼もしさには感銘受けました。
アーチェリーの弓を開発をしている西平さんは、初期の電動車椅子の開発者でもあり、18歳から現在(確か70歳くらい)も「おもしろがって、ものづくり」をしています。西平さんのA4サイズの名刺には、電動車椅子をガンダムと比べて、人が機械を動かすだけでなく、載っている人の姿勢と居心地を機械が作っていると書いていました。
それを「モビルスーツ」だと。
車椅子が自分の動きにも合わせてくれるようになっていくんですね。
今回試乗した車椅子は、一週間は車椅子から降りなくても大丈夫と思えるほど、体の位置を変えられる、しかも「一人で」変えられる。
技術と熱意とお金で、実現できることがわかりました。
次の旅先でも、車椅子の工房を探して、技術者の方のお話を聞こうと思います。