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友人二人にまず話してみる〜10代、20代から始める社会変革

皆さんは、10代や20代前半のときはどういう思いで過ごしていただろうか。学校という限られた空間の中で、成績次第で次の進路が決まってしまうと、焦りながら教科を勉強する。私自身は、本当は自分の好きなことを見つけたり、好きなことに没頭したり、このままの勉強だと社会へ出るのが不安だったりするのに、そのために時間を作ることがなかなかできなかったのが、本当にもったいないと感じている。

昨日は、色々な学校から来た高校生からインタビューを受けた。NPO法人「飛んでけ!車いす」の会のインターンシップに来ている学生が、11月16日に「『冒険者たち』と話そう〜車椅子のチャレンジャーたち」というイベントを企画している。その準備段階として、私がどういう生き方をしてきたのかを知りたいと依頼をいただいた。私はざっくりと話をしたが、高校生たちと話していく中で、自分が大切にしてきたことを改めて振り返ることができた。そういう思いにさせてくれるほど、有意義な1時間半を過ごしたので、そのことを書きたいと思う。

私は、人生で最も大事な10代で「私は卒業後は一生、入所施設に暮らしていくしかない。将来は決まっている」と思っていた。日常生活のほとんどに他人の許しを得た介助が必要で、学校や施設職員にトイレでお尻を拭くことさえも、「今、頼んでいいのかな」と状況を見ながら頼まなければならなかった。それでも、自分の残された力があって、「私はカウンセラーになりたい、周りの職員よりも気持ちがわかる」という1%の自信があった。だから、学校生活でヘルパーを公費で使うことができなくても、大学に行くことを決めた。そこから、学生にも介助を頼むようになり、卒業後もその経験が生かされて、友人とバングラデシュやイタリア、タイなどに行き、チェアスキーを毎年仲間を募って行い、車いす女性のファッションショーにも出て、学校以外の人との出会いにより、どんどん積極的になっていった。

障害者はみんなと同じように生きているということを知ってもらいたいという思いで、表に出ていって、途中までは達成感があった。しかし、「すごいね。」「あなただからできるんであって、私にはできないよ。」と「作る必要のない距離」を必ずと言っていいほど感じ、きらびやかである必要があるのかと疑問に思った。もっと、見えていないところで、現実的な課題に直面している人がいると思い、社会福祉士として働くことにした。

今の世の中、障害者が生きやすい社会かと問われたら、「あなたが障害者になったときのことを想像したときに、不安を持たなかったり、今の自分のまま生きられると思ったら、生きやすい社会と言えるかもしれない。」と私なら答える。

地下鉄一つを挙げても、車いすで車両に乗るためには駅員さんにスロープをつけてもらい、降りる駅で駅員さんに待ってもらわないといけないのである。その依頼に時間がかかるので、一本や二本は車両を見送って、次のものに乗らないといけず、10分以上のロスが出てくる。

それがなぜ生きづらさにつながるのかを、想像できるか、または想像しようとすることが、「一緒に生きやすい社会を作る」ことにつながっていく。

話終わった後、高校生から感想や質問をもらった。

・「自分とは違う状況の人々のこと」をもっと勉強しないといけないと思った。それは車いすの人のことだけではなくて、高齢者とか色々な人。自分は大きいことはできない。友人に学んだことを話したりすることしかできない。外出して一緒にバスに乗ったり楽しそう。そういうことをしていかないとならないと思う。

・大変な中でそれでもポジティブになっているのはどうしてなのか。(すごいとか言われたくないかもしれないが、自分が同じような状況になったら、同じように考えられるかわからないい。今自分はポジティブな面しか見ていないかもしれないが。)

私は、学生と話をして楽しいと思うのは、吸収力の速さと、自分の学んだあらゆる言葉を懸命に使って話してくれるところである。大人になったり、仕事に就くようになったら、短くて専門的な言葉を使い、わかったような気持ちになったり、伝わったと勘違いしたりする。学生よりもたくさん人と会える、学ぶチャンスがあるにも関わらず、わかったつもりになって、自分の領域のことしか考えなくなってしまうのである。

実は、学生が持っている言葉が一番わかりやすくて、伝わりやすいのではないかと思った。「友人に伝えることしかできない。」と話していたが、学んだ本人から語る言葉は説得力があり、いつも付き合っている友人に響いていくと思う。私は、「友人二人に伝えることで、2倍にも3倍にも広められると思う。」と伝えた。

そこから、社会変革はできると信じている。

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