くらし

心 はじけたアメリカ〜いちご会の講演を終えて

今日は、朝早くから真っ青できれいな空が見える。

昨日の夜から泊まりの介助に入っていたアシスタントのんさんは、朝9時から仕事があるために朝8時までの勤務になった。それに合わせて一度起きてトイレをして、お昼のアシスタントが来るまで、再び眠りにつこうと思っていたところ、朝から気分が良かったため、予定を変えて私も8時に外出することに。近くの喫茶店で、コーヒーを飲みながら、昨日の出来事を日記に書くことにした。

昨日は、NPO法人札幌いちご会で講演させていただいた。アメリカから帰国して初めてのアメリカ旅行に関する講演だ。今回は、メインで所属している法人の相談員として、障害者の施設や相談現場を学びに、シカゴ州とカリフォルニア州に1ヶ月半暮らしてきた。その研修の内容については、きちんと私が噛み砕いて吸収してから報告する予定であったため、いちご会では、アメリカに行っての感想をとにかく話す意気込みでいた。

60名ほどの定員の中、ほぼ満席。車椅子ユーザーや他の障害者の方、特別支援学校の先生、以前に講演活動をご一緒した方、就職活動を応援してくださった方、友人、私のアシスタント、アシスタントのお母様、前に働いていたアシスタント、初めてお会いする方など色々な方に来てくださった。

今回の講演は、今までで一番まとまりのない話になってしまった気がしている。アメリカで学んだこと、感じて来たことと、日本でのギャップが激しく、そこをどのように整理したらいいかわからなかったからだ。

最も衝撃的だったことは、「自分が障害者であることをほとんど感じずに生きていける」こと。

地下鉄やバス、電車などは段差がなかったり、スロープがついていたり、スタッフにその場で言えばすぐに乗ることができた。スタッフさえも必要ないところもあったり、駆け込み乗車ができたり、違う路線のバスに乗って行き先を途中で変えることができた。

日本では車椅子を使っていなければ、当然のようにラクラクできることを、私は遠いアメリカに行って、初めて経験したのである。

さらに、アメリカでは外で歩いていたとしても、行き交う人々や交通機関で一緒に乗り合わせた人々に、ジロジロ不思議そうに見られることは一切なかった。むしろ、気にしていないし、しかし目が合えばニコッと挨拶をする。スロープを出してくれたドライバーと「Have a good one.」とお互いに挨拶をして別れる。

日本では子どもの時と比べて、不思議そうな目で見られるのは気にならなくなったが、私が慣れただけで、もしかしたらまだまだ変わっていないのではと思うことも多い。

アメリカ滞在中は、自分の感じていることを完璧じゃなくても英語で話してきて、はっきりした反応があって楽だった。相手に「あなたの言っていることはわからないわ。」と言われれば、もっと説明しなきゃ、どんな言葉を使えばいいだろうと必死になった。「日本にある課題も、ここでも抱えているのよ。」と返してくれた時は、悩んでいることを一緒に共有できたことが嬉しかった。

会場からの質問で「アメリカにまた行きたいですか?行きたくないですか?その理由はなんですか?」「日本のいいところはなんですか?」と聞かれた時に、私は言葉に詰まった。

今は正直、その答えは出せなかった。

きっと、アメリカの生活は、ホームレスが明らかに多く見えるためシビアだと思う。しかし、それが日本にないかと言われたら、隠れているだけだと思う。福祉制度も日本もアメリカも細かいところでいいところや、不十分なところがあり、比較できないと思う。

小山内さんは「日本にいいところが見つからないと聞いて、正直ショックを受けています。色々運動をして障害者や色々な人が暮らしやすい社会を作ってきたのに。日本をアメリカにすることが必要。今日のように、障害者の人がどんどんアメリカに行き、報告会をきちんと開き、伝えていってくれる人がもっと必要です。」とおっしゃっていた。

確かに、交通機関や普通学校(小〜高、大学など)でのバリアフリー化は、そこで働きかけていた障害者がいたから実現してきた。私も子どもの時から頑張ってきたし、家族も複雑な思いを抱えながら、社会と戦ってきた。しかし、もしかしたら、1mmも人々の意識を変えられていないのでは?とショックを受けていた。

またアメリカに行きたいが、日本に対する意識がさらに薄れていくようで怖かった。

こんなにも、深く真面目に考えている私に、私自身が驚いたのと同時に、何も飾ることのないありのままの自分で話ができたこの日を、記念日にしたいと思った。

「もっと詳しい話が聞けるのかと思っていた。」

「もっと激しいことを言うのだと思っていた。抑えていたのかい。」

などの感想もいただいたが、

「言葉で言い表せられないほど、多くのことを学んだことがよくわかった。」

と話してくださった方もいた。

何よりも、まずは自分のための講演になってしまった気がするが、その機会をいただいたことに感謝だ。

POSTED COMMENT

  1. ふぢ より:

    こんばんは。
    BLOGお引っ越しおめでとう。
    講演は 途中から入ってしまって 全てを聞くことが出来なかったのだけど。

    みちこの「衝撃!!」

    unbelievable!
    Are you serious?
    Holy cow!

    みたいな・・・感じは出ていたね(笑)
    おいらも知らない事いっぱいあったから、もっと知りたいなって思えたよ。

    こっからオイラ感想だけどさ
    日本の良いところ? そんなもんどうでもいいよ。
    はあ?
    いつの間にか気づくでしょ。

    お金の話が大きいけど 海外にもっといけばいいんだよ。
    刺激のあるところに どんどん進めば良いんだよ
    出来ると良いなー。
    自分に正直にうごけばいいから。
    リーゼントで 笑

    なんなら、カツラ買えば良いじゃん。5分でセットできる!!!
    ありですね。

    講演おつかれさま。
    またいろんな話聞かせろー。

    • ブログ移動後、一番乗りのコメントありがとう!
      講演にも来てくれてありがとうございます!

      とにかく躊躇せず、刺激を求めるのは必要!

      きっときれいごとなら、いくらでも話せたけれど、
      そういうことはしたくなくて、その結果、講演者らしくない感じにはなりました。

      ◯◯さんだからできるんだよっ自分にはできないって思われたくない
      っていうのが、私の根っこにあるようで、
      全然、この講演じゃわからん、自分の目で確かめる!って思う人が現れてほしいです。

      といっても、この件では私は相当努力したので、
      また、なんでもできるスイッチを身につけましたが。

      地下鉄さえも乗れなかった私がここまで来るとは思いませんでした。

      また、話す機会を作ろうと思います!

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