NPO法人いちご会の講演会に、吉藤オリィさんに来ていただいた。私は司会だったので、質疑応答の時間に質問ができなかったが、工学部の大学生や車いすユーザーの女性など、たくさんの方から質問があり、2時間半ずっと休みなく行なっていた。
吉藤オリィさんは、分身コミュニケーションロボットOriHimeを開発した第一人者である。自身の3年以上の引きこもり経験により、「あきらめることは、人を殺す」ことを身をもって感じ続けたオリィさんは、高校生に電動車いすの開発をはじめてから、「孤独の解消」というテーマを一筋に研究・開発してきた。
ぜひ、下記のホームページを見てもらえたらと思う。また、YoutubeでOriHimeというキーワードを入れると、どんな人がどんな可能性を広げてきたのかを知ることができる。
分身ロボット「OriHime」
遠隔コミュニケーションロボットOriHime-Dによる分身ロボットカフェ
吉藤オリィさんは、OriHimeで広がる無限の可能性を、多くの人につなげるために、株式会社オリィ研究所を設立した。その精神は、岩手県盛岡市から遠隔で働いていた同僚の番田さんの思いを引き継いでいる。番田さんは、交通事故によりベッドでの生活を強いられた後、オリィさんに声をかけてから、「天井しか見えない孤独を知った者同士」の親友でもあり、秘書まで手がけるオリィさんの右腕になった。OriHimeを活用して全国へと出かけ、スピーチをしてきた。番田さんは、世界にまで「足を運び」、延命治療に対して消極的な国の人々の心を変えた。そのスピーチを聞かせてもらった中で、印象に残っているのは、「生きている意味は、人とのつながりで見えてくる」という言葉だ。
オリィさんは「この先、何年生きるのか、そこまでの人生計画」を考えて、家族や周りの人にどう思われようと「そんなことはいいじゃないですか、自分がしたいと思ったんだから」と、自分のやるべきことを信じて今までやってきた。
私は、講演会で、「実は僕の親友の番田は、ずっと一緒にやっていくと思っていたのに、亡くなってしまいました」と話をするオリィさんの姿を見て、「自分の命は無限に続くわけではないから、自分のテーマを一筋にやっていくこと」、さらに「他人のテーマを誰かが引き継ぐことができること」を学んだ。
自分は一生、天井を見て死んでいくのか…
いや、そうしてたまるか。
と思っている人は、私が見えないところでたくさんいると思った。
