プラスな日常

「足」があるから住みたいと思える〜京都旅行の報告

大阪・京都旅行の続き。今回、京都に行った目的は、日本障害者自立生活センター(JCIL)への訪問だった。昨年アメリカに行く前に、アメリカへ介助者を連れて長期滞在した人の話を聴きたくて、ようやくたどり着いた人が大藪(おおやぶ)さんという人(写真左から二人目)だった。これまで1年以上、スカイプやメールでやりとりしていたが、一度もお会いしたことがなかったため、これを機会にお話がしたかった。もう一人、今回はお会いできなかったが大阪に住む障害当事者の安原さんのつながりで、JCILの活動をしている方々にもお会いすることができた。京都での自立生活などの話を聴きたかったのである。

左からJCIL油田さん、大藪さん、岡山さん、立命館大学の研究員の河合さん

 

京都のとある駅を出て、外に出た時に感じたのは「はぁ。。。落ち着く〜」だった。

大阪は活気があって魅力的だが、自分の気持ちがそわそわする。京都に着いた瞬間、そこはまっすぐな5番の目の道路で、「札幌に似てる〜。」と思った。けれど、建物は平屋が多く、屋根は三角屋根で、木造の建物や瓦屋根の建物をよく見かけるところは、京都らしい。観光に行く時間がなかったので、京都料理やお菓子の食べ歩き、お寺巡りをしたい。ちなみに、お豆腐と柴漬けの入ったお蕎麦を食べたら、美味しかった。

旅行でいつも注目するのは、交通機関の利便性である。車いすで利用しようとした際に、スムーズに対応してくださるか、バスはバス停にいるだけで普通に乗せてくれるか、などをチェックする。なんども言うが、札幌のバスは「予約が当たり前」の雰囲気を漂わせている。ちなみに、札幌市中央区を中心に走っている市電は、事業所の職員のおっちゃん(優しいおじさま)が電話で予約を受け付け、ちょっとギリギリの電話でも、すぐに対応できるか一生懸命考えてくれる。「行けると思うわ!」とフットワークが軽い時の方が多い。

京都の地下鉄の駅員さんも面白かった。切符を買って、受付で「〇〇駅までお願いします。」と伝えると、今から〜すぐに出発する車両で行けるんか〜?と言う表情を一瞬した。ほとんどの乗り物がそうだが、車両とホームの間に段差があるので、スロープをセッティングすることと、降りる駅の駅員さんにスロープの用意を電話で伝えないとならない。しかし、その一瞬の表情をしながら「ん〜。。行けるかもしれへん」と曖昧な返事をし、改札を通らせてくれた。改札を通って車両に近づいたら、そこに女性職員がいて「行けるんかな〜、行きますか〜?行けます〜!」と手際よくスロープをかけてくださった。実は、降りる駅は1、2駅先なので、すぐに着いてしまう。

結果は、普通に目的の駅で降りることができた。

 

どこかの会合で、この前の東京旅行から帰ってきたばかりの私は、「札幌よりも、やはり東京の方が交通機関はスムーズに使えるから、住みやすいと思った。」と発言した。すると、ある人が「東京の人は冷たい印象があるし、札幌の方が住みやすいと思う。なんだか東京が一番と言われると、排除された気分になる。」と言っていた。その方は、いわゆる健常の方だったので、他の車いすユーザーも「東京の方がいいよ〜」と同意していた時に、自分はそう思わないから孤立感を持ったのかもしれない。

「札幌にも冷たい人も優しい人もいるように、東京にも冷たい人だけでなく、優しい人もいる。私が言いたいのは、交通機関にアクセスできるか、できないか、スムーズに時間通りに行けるか、次以降の車両を待つのが当たり前かによって、全然、1日の、人生の進み方が違う。」ことだった。

大阪は、JRは少しゆったりした対応で、地下鉄は迅速な対応をしていたような気がする。京都は、一度しか使っていないが、言葉の感じが大阪よりゆったりだが、きちんと対応してくださった印象だ。札幌の交通機関は、他県に住んでいる障害者にどう映るだろうか。どなたか聞かせてほしい。

本当は、札幌も気に入っている地域の一つだ。活動に欠かせない「足」がしっかり確保できるなら、住んでいたい。「足」となる交通機関がスムーズに使えたら、そんなに早く準備して早く出発しなくてもいいし、スムーズに帰宅してその空いた時間でゆっくり休むことができる。「東京の人は冷たいな〜」と感じる経験もするし、「ここは面白い街だ」と発見もするだろうし、そういう良いことも悪いことも経験できることは大きいことである。

札幌で、気軽に行きたい美術館があっても、バスの予約が必要で、しかも対応も悪いから、行く気がしなかった時がある。自分の足をバスのステップに乗せられる人は、車いすユーザーよりもハードルを感じにくい。皮肉ではなくて、意識していない幸せがあることは良いことだ。

京都のJCILでは、年1回以上は交通局と交渉の場を持ち、改善してほしいところを意見交換している。そういった定期的で、地道な活動が、職員の対応の良さにつながっていくのだと改めて思った。

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