あいうえおエッセイ

夜の余韻に浸る

夜、外を歩いていると、なんだかワクワクする。昼間とちがって、出歩いている人も少なく、静かな空間が広がっているところが好きだ。家の中で過ごしている人が多いだろうから、こんな時間に外にいる私は、なんだか特別なことをしている気分になる。路地を歩くと、それぞれの家のリビングらしき部屋の窓から、うっすらと電気の灯りが漏れている。夕ご飯も食べてテレビを見ながらゆっくりくつろいでいるところだろうかと、人様の家なのに、妄想しすぎて、サザエさんのような昭和なリビングの風景が頭から離れなくなってしまった。

もっと若いときは、友人や職場の同僚、人生の先輩方とお酒を飲みに出歩いたものだ。周りに目を移すと、仕事帰りらしい服装をした人々が、昼間の仕事から解放されて、ふらふらと酔っ払っている。お酒と美味しいおつまみがあれば、それだけで何時間も話に花を咲かせるのだ。いつの間にか時間を忘れて、あっという間に真夜中になると、体と心が温まっている自分に幸せだな!と思うのと同時に、少し寂しさが残る。その寂しさを、満たされた気持ちでカバーするかのように、鼻歌を歌いながら、家まで帰るのだった。

電動車椅子を使っている友人は、夜中を過ぎて交通機関がなくなると、1時間以上もかけて電動車椅子で帰るそうだ。たまに、電動のバッテリーが切れそうになると、バーやカラオケでバッテリーを充電してから帰ることもあるようだ。

夜、公園のベンチで、ただ友人や恋人と、何時間もたわいのない話をしたり、屋台のラーメンを食べに行ったり、ひたすら目的もなく歩いたり、家で映画や読書に没頭したり、友人とラインをしたり……この何気ない時間が、自分のエネルギーを満たしてくれるのだ。

明日からまた、頑張れるのだ。

 

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