くらし

世の中はおもろい人ばかり

世の中、「人付き合いに疲れたことがある人!」と大きな声でみんなに聞いたら、みんなが手や足を止めて「はい!」と手を挙げるに違いない。私もその一人だ。知り合いにも「恨みつらみを持っている人がおんのよ」とつぶやいている方がいるくらいだ。「恨みつらみ」のことを考え出したら、私は20名くらいに対して心臓に矢を放っているかもしれない。天使が矢を放つのならいいことかもしれないが、リアルに考え続けると恐ろしい話になるのでこの辺で。

外へ出かけると、世の中おもしろい人ばかりでネタに尽きない。関西に来てから1年くらい経つが、まだまだ飽きなさそうだ。関西では「おもしろい」を「おもろい」と言う。若い人なら「おもろ!」とも言う。おもろいことってそんなにあるの?と思うかもしれないが、文字通り楽しいとか笑えるとかもそうだが、一見おもろいどころか「腹が立つことであっても、そのできごとを話すうちにおもろくなっていく」ということを知った。

今日は外出中に、二人くらいの男性に立て続けに怒られた。一人には、閉まりかけのエレベーターに乗ろうとしたら、「なんだよ!乗るんかよ!」と大きな声で文句言われるし、もう一人には、バス停で待っていたら、私が待っていたところは、乗り場とちょっとずれていたらしく、バスがきていそいそと近づいていったら、「(このバスは)〇〇に行くんや!乗んのかよ!」と注意されてしまった。

きっと、1年前の私が札幌で同じようなことをされたら怒っていただろうが、逆にそこまで怒られてしまうと(私悪くないし、たまたま機嫌悪かったから、とばっちりやな。)と妙に冷静になった。実は、私の数少ない関西での経験によると、けっこうその場限りのことが多くて、こちらが普通に会話したら、優しくなったり(普通になったり)する人が多い。そのバスの運転手なんか、終点のバス停に着く頃の「間もなく終点です。お忘れ物がないように…」というアナウンスがめっちゃうますぎて、心の中でおもろ!!と心底思った。降りるときにお礼を言うと、めっちゃ穏やかだし、とりあえず一過性の(一時的な)ことにめくじら立てない(怒らない)方が良さそうだということがわかった。

帰ったあとに、ヘルパーさんと会話をしていたら、「世の中、絶対苦手な人おりますよね。」という話になり、これまで出会ったいろいろな人の話を聞かせてくれた。怒られた経験でさえも、その怒ってきた人もおもしろく聞こえるくらい、笑えるできごとに変わって、話がうまい。しかも、バカにする感じでもないから、いい。

関西人は怖い、というイメージがあるとよく聞いたことがあるが、どの地域であっても、みんながみんなそういう人ばかりではない。むしろ、「怖い」と思うその人自身の感覚も少しは影響しているのだと思う。確かに、はっきりおっしゃる人は多い印象はある。でも、同じできごとを話すときにも、話し方や回想の仕方によっては「おもろい」話になっていくというのは、関西で培われた文化のような気がする。

世の中、見え方しだいで「おもろい人ばかりだ。」と話し始めると、楽しくなっていくのかもしれない。少なくとも、世の中に悲観的にならないようにできそうだ。

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