くらし

おだやかな自分を見つけて

秋の匂いがする。北海道から関西に来て初めての秋。今ごろは、北海道の気温は肌寒く、ティシャツ一枚ではいられない。一方で、関西はまだ半袖でちょうどいい。

でも、秋の匂いがする。真夏のジリジリとした日差しや、肌にまとわりつくような湿気が少しずつ穏やかになって、吹いてくる風は「気持ちいい」と口から出てしまうくらい涼しくなってきた。一番、良い季節。だから、この前はピクニックへ出かけた。

ここ数ヶ月は、とにかく誰にも邪魔されずに、自分のことを考えたくて、やりたいことを淡々とやっていた気がする。別に邪魔しようとする人は誰もいないのだけど(笑)。

 

この数ヶ月でわかったことは、本当にわずかなことだけれど、私にとってはすごく大きかった。

私はこれまで、鎧(よろい)や刀(かたな)などを身につけて、周りの人や周りの状況をどうにかしようと頑張っていて、鎧(よろい)や刀(かたな)をおろす余裕がなかったのだと。

時代劇でいうと、最後の方の戦うシーンばかりをしていたし、そのシーンの準備ばかりをしていた。水戸黄門や助さんと角さんが町をぶらぶらして、途中で団子屋に寄って団子を食べて、桜の木を見て春を感じたり、冗談を言ったりするように、穏やかにその場を楽しむことができなかった気がする。その穏やかなシーンでさえも、鎧(よろい)や刀(かたな)を持った人が出てきて戦っているような「気持ちがおさまらない」日々を過ごしてきたのかもしれない。

 

実際は、鎧(よろい)や刀(かたな)を持った人ばかりではない。いつも助けてくれようとしたり、心配してくれたりしていた人もたくさんいた。でも、毎日、誰かの手を借りて生きていかなければならない私にとっては、たとえ周りの人が良い人たちであっても、毎日人に会いすぎて、対応しきれていなかった。おまけに、自分でヘルパーのマネジメントをしていたから、ヘルパーの人手が足りないときは、どうしようもなく不安だった。自分の体のリハビリもしなければならないのに、もっと緊急なことがあったから、自分の体や心のメンテナンスは後回しになっていたようだ。

 

今は、移住したことで、ヘルパーのマネジメントの役割を引退でき、水戸黄門のように団子屋さんに寄り道をすることができるようになった。

ちなみに、たとえヘルパーのマネジメントをしていなくても、そもそもヘルパー生活は大変である。私がかなりイライラしていたときは、ヘルパーに嫌われていたようだが、自分のプライベート空間に他人が入るだけで、コントロールしきれないことがたくさんあり、ストレスフルになりやすい。その状態だけで、鎧(よろい)や刀(かたな)を振りかざしたくなる。振りかざしていなくても、振りかざしている(振りかざさなければいけない)気分になる。

 

そういった気分に惑わされることなく、外に出て秋の空気を感じに行こう。

穏やかな自分がいることがわかった。

 

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