ある日、家に帰ってきたら、台所の上で誘われる声がした。
「あら、帰ってきたの〜、寂しかったわ…こっちに来て♡」
暗がりの中で色っぽい声がする。恐る恐る電気をつけてみると、
台所の上で美しい体が。
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それは、大根だった。


うふん、アハン(→いまどき、こんなことを言って誘ってくる人がいるのか)
「待ってたわ〜、私を調理して♡」
「わかったよ、好きにさせてもらうよ」
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甘酢漬けにしたり、煮物にしたり、セクシー大根は私の血となり肉となっていった。
なんとも、美しいものを目の前にすると、それをじっと見てしまって動けなくなってしまうものだ。切らずに取っておきたかったが、潔い私は、そういう気持ちは一瞬で消え、「はい、早く切ってくださ〜い」といつも通り、ヘルパーさんに指示をするのであった。
毎日の何気ないことが面白い。