タイ・イタリア

(20)「〇〇さんだから、できるんだよ」をポジティブに使おう

 いきなり、少し変なことを言います。私は、誰かの充実した体験を見たり、聞いたりすると、ワクワクするのと同時に、なんかモヤモヤした気持ちになります。それは、他の誰かが、私に投げかけてきた言葉に似ています。

「面白かったけれど、Michikoさんだからできることだよ。」

 その言葉は、本音だと思います。

 私も、誰かの成功体験(のように聞こえる話)を聞くと、「そんなの、〇〇さんだからできることだよね。」と思うことが何度もありました。そのことを言葉に表さなかったとしても、どこか気持ちの中で思っているのです。

 そこで、「そうです、私だからできたんですよ。」と言ってみることにしましょう。私は、両親が私の小さい頃からせっせとお金を貯めてくれて、生活に困らない暮らしと、何度かの旅をすることができています。すばらしい友人もいます。偶然、旅で出会った方々が優しく、いろいろな人に助けられてきました。

 このように表してみると、どうして、こんなすばらしいことを声を上げて言えないのだろうと疑問に思いました。どうして、私も、他の誰かの成功体験(のように聞こえる話)を聞いて、私の目の前にある幸せに気づかず、妬むような気持ちになってしまうのだろうと我に返りました。

 

 私は、この体験記を何年も出さずにいました。それは、この経験が誰かの役に立つのか、わからなかったからです。でも、今、公にしてみて、わかったことがあります。タイ・イタリア旅行記の講演会を行った時、難病と一緒に暮らしている方々が「今、できることをやっていこう」という思いを持ってくれたことを改めて思い出しました。

 人の苦労を比べてしまうと、ただ妬みあいになってしまいます。人の苦労は、それぞれの形があって、誰もがほんの少しでも、幸せをつかもうとしているのだと考えると、どうでしょうか。

 そして、誰もが「逃れられない苦労や悩み」を持っていると考えると、どうでしょうか。

 「私は、そのことをこの旅で学んだのだ。」と今さら、気づいたことに後悔しています。それらを出し惜しみして、ずっと表に出していなかったことに反省しました。

 

 私たちは、いつも、自分の「逃れられない苦労や悩み」にどう対応していくのかを考えています。「なんで、いつも、このことに悩まされなくちゃいけないの?」ということばかりです。その状態から少しでも抜けるためには、誰かの生き方やそこから沸き起こる考えから、ヒントをもらうしかありません。

 誰かの体験を聞いて、自分には合わないなと思えば、忘れた方がいいです。でも、何か心に残った時、それは何か求めていることに近いことなのかもしれません。

 もし、「〇〇さんだからできるんだよ。」と思った時は、自分に対して「できない」と言っているのと同じです。そのやりとりは、正直、無駄な時間。その話なんか忘れて、他のことをやってみる自分のすばらしさに気づいた方が、よっぽどいい時間を過ごすことができそうです。

 

 私は、一緒に旅をしてくださったEikoさんには、感謝を何度しても、し尽くせません。Eikoさんと一緒じゃなければ、もしかしたら二度とないかもしれない、すばらしい体験をできなかったでしょう。

 「Eikoさんじゃないと、できなかった。」

 「Eikoさんと行ったから、できた!」

 一人ではできなかったことが、色々な人と出会い、タイミングや環境がうまく絡み合って、実現できたことなのです。こんなふうにポジティブに考えるとワクワクします。

 いつまでも、今の幸せがあるわけではない。

 でも、次の幸せを、また作っていける。

 そのようなことを、私は、この旅で学んだような気がします。

 

 内容の濃かったタイ・イタリアの旅の記録は、これで終わりました。

 2020年は、新型コロナウィルスの影響で、世界的に、日常生活が大きく変わりました。タイやイタリアで出会った人々、そこに住んでいる大切な友人が、今、元気でいてくださっているのか、それだけが気がかりです。

 もしかすると、私のブログに気づいてくださるかもしれないと思い、写真をあえて公開しています。(状況により、写真の掲載は編集することもありますので、ご了承ください。)

 人々との自然な出会いを楽しめる旅を、またしていきたいなと切に思っています。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

2020年5月29日

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