キンモクセイの花の香りを今年初めて嗅いだ。北海道ではほとんどなかった気がする。秋の雨の時期とともに、1週間ほどの短い期間だけ、甘い香りを放つ。もうとっくにキンモクセイの季節は終わっているが、あのとき、どこを歩いても、周りの家々の庭からキンモクセイの香りがしていたのを今でも覚えている。
小さいお花なのに、存在感が大きい。そして、一瞬だけ私たちの前に現れて、「キンモクセイの香りって、やっぱりいいよね。」と秋の思い出をすぐに彩ってくれる。
このエッセイの「き」を書くとき、前日からキンモクセイばかり浮かんで仕方がなかった。また来年も暑い夏のあとのお楽しみとして迎えたい。今は冬なのに、春が来て夏が来て秋が来ることを想像する。明日も、また楽しみだ。