あいうえおエッセイ

脱線(だっせん)して肩の力を抜く

たまによくわからない不安を感じるときがある。マラソンでたとえると、前を見てただただ走っているときは夢中になっているが、ふと横や後ろ、前にいる人のことが気になると、自分は勝っているのか、負けているのか、どこにいるのか、このままでいいのか、考え始めて体の動きが悪くなる感じだ。

ゴールはどこか、どのくらいのスピードで走ったらいいのか、いつまで走るのか、走り方はこれでいいのか…。走ってから、修正していってもおもしろい。でも、修正の仕方を知らないと、気持ちばかりが焦ってしまって疲れてしまう。私の場合は、慎重にいきたいから、ある程度は計画を立ててからやり始める。あなたはどう?人によっては、あっちへ行っては道に迷い、こっちへ行っては頭をぶつけるかもしれない。でも、そういう人は、そこで色々な人に助けてもらうという強さを持っている。

慎重にいきたいからと計画を立てていても、不安になることがあるから、どうしようもない。私は、日本語教師の仕事をするときは、レッスンの計画をある程度は立てるが、裏メニューを用意したり、すべての計画がその通りにはならないと思うようにしている。ある先生が、「基本のメニューは考えておくけど、それがダメならBのメニューに行くとか、時間がなければ、飛ばして最後をやるとか、柔軟に考えた方がいい」とおっしゃっていたからだ。確かに、その方が気楽だし、相手の気持ちに合わせてレッスンできるから、落ち着いた雰囲気で時間を過ごすことができる。

人生そのものも「裏メニュー」や「寄り道」、「脱線」があったら、もっと楽になるだろう。そう考えてからは、計画を立てるときも、あまり肩に力を入れずに、スムーズに考えられるようになった。いつでも変えられる、いつでもどんな感じでも変えてもいい。そんなふうに思えると、自分にも相手にも、肩の力を抜いて優しくなり、不安が減っていきそうだ。

 

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