あいうえおエッセイ

空(そら)と自分

空を見上げてみた。辛いときは空を見上げようとよく言うが、そんなことをしても何も変わらないと思ってきた。空を見上げる余裕があるなら、もうとっくに見上げているはずだし、変わっているはずだと思った。やっぱりダメだと思って、家に帰った。

空を見上げた。雲が浮かんでいた。鳥が飛んでいた。あ、飛行機が飛んでいる。自分が変わるのを期待しないことにした。そしたら、気が楽になった。

雨が降るそうかどうか、空を見上げて確かめた。これから新しいお客様にサービスを買ってもらわないといけない。青空が見えてきて、ホッとした。今日は大丈夫かもしれないと。

空をふと見上げる。今日も1日が終わった。今日の営業はまずまずの出来だった。朝と変わらず、少し空が見えるほどだが、ほのかに見える夕陽がきれいだ。

空を見上げよう。今日は正直、仕事に行きたくない。いつもの満員電車、いつもの会社にうんざりだ。足が動かないほど憂うつな気分だ。一歩家に出たとき、上を見上げようと思った。あーぁ。深呼吸をするときに、顔が上を向いた。自分が空を見上げようとするなんて、前の自分と変わったなと思った。

空を見上げていた。自分は、気づいたら空を見上げていた。来る日も来る日も、空はそこにあった。本当は、前からずっと空を見上げていたのかもしれない。気がつかなかったのは自分だった。空を見上げたいと思っても思っていなくても、自分は空を見上げていた。

 

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