食べもの

渋い柿も、いつかは甘くなる

関西に来てから今年で4回目の冬を迎えようとしている。

同じ日本なのに、北海道の冬と、関西の冬は全然違う。
北海道の友人に「関西は暖かそうだね。」とメールの挨拶で言われる。私も、12月の移住の初日に北海道から関西へ飛行機で向かい、たどり着いた時には「汗ばむくらい暖かい」と思ったくらいだから、北海道に住んでいる人からすれば、冬じゃないような季節に感じるだろう。(実際に、12月の関西の気温は、北海道の10月の気温くらいなのだから。)

でも、おかしなもので、3年以上も住むと、関西の季節を3回も回ったら、ここでの季節の変化に体が反応するのである。9月いっぱいまでは夏のように暑い日があっても、9月の後半過ぎて、金木犀の香りを感じたと思ったら冷たい風になってきて「あ、夏が終わって、秋になった」と季節の変化をはっきりと感じられる。

そして、今は、外で風を感じると、肌が少しピリッと冷たさを感じる。

しかも、「冬のにおい」も感じる。

言葉で表現できない、季節の変化。

 

季節の変化を言葉にできなくても、私たちは季節を楽しむ手段がある。

人間は食べ物を使って、季節の変化を楽しむ。

 

今回は、初めて、渋柿を吊るしてみた。

 

ヘルパーさんの家の敷地に、柿の木が何本もあって、
たくさんあるというので「干し柿、作ってみたい」とお願いして分けてもらった。

とても立派な渋柿を吊るしやすいように、枝をT字に切って残して持ってきてくださった。次の日に来ていたヘルパーさんに皮をむいてもらい、沸騰したお湯にくぐらせて、ウィスキー(本当は焼酎を使うらしいが、これしかなかった)でアルコール消毒して、ビニールひもで吊るした。

渋柿は、甘柿より細くとんがっている。

本当に渋いのかな?もちろん、渋いのは嫌なので食べたりはしないけれど。

 

11月の1週目に干して、3週間後には茶色く、シワシワになり
白い粉もふいている。カビみたいだけど、これができるといいらしい。

その間、ヘルパーさんが来るたびに
「いいですね〜。だんだん小さくなってきてる。」
「季節、感じるわ〜。」と愛(め)でてくれる。

 

 

表面は硬いが、中はまだ柔らかい。

昼は太陽に当たってポカポカ、夜はグッと冷える。
そんな寒暖差は人間にとっては嫌だが、渋柿を甘くさせる大切な寒暖差だ。

時々、優しく揉んであげて、渋みが抜けるようにおまじない。

 

寒さがだんだん濃くなっていく頃、渋柿は干し柿になる。

砂糖より甘いけど、自然な甘さで、幸せ。

嫌なことがあっても、嬉しいことがあっても、
時が経てば、いつかは渋い柿から甘い柿になるんだ。

まだ、あと5個くらいあるから、干し柿の変化を楽しみながら、
真冬を迎える準備をしよう。

 

 

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