ご家族・すべての方へ

介護者のためのセルフケア

セルフケア。最近、よく耳にするようになった気がするが、「自分のことなんてケアする暇はないよ。」と言いたくなるかもしれない。

ヘルパー生活をしてきて、よく思うことは、ヘルパーを利用する側だけでなく、日々だれかをサポートしている家族やヘルパーの側も「セルフケア」が必要だということ。日々、だれかの体に触れて介助をしたり、だれかの生活空間に入ってその人のライフスタイルやペースに合わせて介助をしたりしているからだ。

その時間は、自分の体や気持ちのことを放っておいてしまいがちだ。特に、家族の中に、介助が必要な人がいる場合、適切な福祉サービスがなかったり、他人を家に入れたくない・他人に迷惑をかけたくないと思ったりして、家族でその状況を抱えて、毎日のようにその人の介助をしながら疲弊してしまう方々がいる。

日本では、長年、「家族介護」が当たり前だと言われ続け、だれかのサポートに頼ることに抵抗を感じている人も少なくない。だから、私は、すべてセルフケアで問題が解決するとは思わず、自分自身や身内だけで苦労を抱えるのではなく、どんどん外にサポートを求めていくべきだと思っている。

それを前提にしても、「セルフケア」は、日々の慌ただしい生活や責任のある仕事で、体や気持ちにストレスを感じやすい状況で、とても大切なことだ。ストレスで体や気持ちが崩れてしまっても、「自分が心地よいと感じる感覚や気持ち」を取り戻す効果があるからだ。

今回は、ハーバードメディカルスクールのホームページ(Self-care for the caregiver – Harvard Health)を翻訳し、「介助者の5つのセルフケアの方法」を学んでいこうと思う。

この文章では、主に「家族」に向けて書かれているが、入所施設や在宅で介助をしている方々にも当てはまると思うし、どんなことでも生きる上でストレスを抱えるため、多くの人が知っておいた方がいいと思う。

(「介助」「介護」の言葉について、翻訳では日本で公的な文書で使われている「介護」を使い、私の文章は「介助」を使います。私は「介護」は周囲が特別に守るという意味が強いので、「介助」という言葉を選択肢、「必要があれば遠慮せず受けられるサポート」という意味で使っています。)

Self-care for the caregiver – Harvard Health

5 ways to care for yourself if you are a caregiver
介護者の5つのセルフケアの方法

1. Self-compassion is essential to self-care.
セルフケアには、自分自身への労り(いたわり)が欠かせない

自分自身に優しくなることは、セルフケアの基本。自分自身への労りは、自分への批判や内側からこみ上がる感情から一歩離れ、自分のための時間を作ることを許してあげながら、いつも大変で複雑な仕事をしているのだと評価することです。

自分の時間やエネルギーが足りなくなると、やる気がなくなってしまいます。きっと、自分が必要なことを考えることに、申し訳ないとか、わがままだと思うかもしれません。しかし、知っておいた方がいいことは、まさしく、セルフケアの練習をすることで、自分自身の体や気持ちのバランスを整え、ものごとに集中できて効果的にことが進み、周囲のだれもが助かる、ということなのです。

2. Practice simple breath awareness for 10 minutes a day.
1日10分の簡単な呼吸を練習する

もっとも簡単で、深くリラックスできる方法は、呼吸に意識をすることです。意識して呼吸し、呼吸の速さを感じてみましょう。

  1. いすやクッションの上で、自分が心地いいなと感じる姿勢を探します
  2. 目を閉じて、自分の呼吸に気持ちを向けていきます
  3. 色々な思いが行ったり来たりして邪魔をしますが、それは無視して、落ち着いて、自分の呼吸に集中しなおします
  4. 5秒間、鼻でゆっくり息を吸って、5秒間止めます。そのあと、5秒間、息を吐きます
  5. 10分間、続けてみましょう。時間をはかる代わりに、このようなことを頭の中で唱えてもいいかもしれません。

”おだやかでリラックスしたエネルギーを吸いま〜す”

”息を止めて、静かなエネルギーが体をリラックスさせま〜す”

”息を吐いて、緊張状態から解放させま〜す”

※呼吸の運動は、痛みや心地悪さを感じてまで無理することではありません。もし、呼吸を止めると、あまり気分が良くない場合は、吸って吐くときの間の「息を止める」のをやめて、吸って吐くだけでもいいです。

3. Try a mind-body practice like yoga, tai chi, meditation, and deep relaxation techniques.
ヨガや太極拳、瞑想などのリラクゼーションといった心身のエクササイズをする

心身のエクササイズは、健康な体をつくるだけでなく、気持ちと体がつながっていることをよく感じることができます。ヨガは、よく介助者の会や、アルツハイマーやがん患者の家族会などで、ストレスを減らしてくれると言われています。

4. Make eating well and getting quality sleep priorities.
いい食事と質のいい睡眠を優先にする

だれかのケア(介護やその他のことも含む)をしているとき、自分自身の食事や必要なことを忘れてしまいがちです。十分な食事と睡眠を続けることは、バーンアウト(燃え尽き症候群)を避けるためにも、大切なことです。寝る前の1日10分のセルフケアを習慣化(ルーティンに)することで、より休まる睡眠ができます。さきの呼吸やヨガなどを取り入れるといいでしょう。食事を抜くことは、イライラや疲労感を感じることにつながります。1日の中で、決まった時間に食べることが重要です。

栄養管理もバーンアウトを防ぐための重要なことです。慢性的なストレスは体の中で炎症を引き起こします。そのため、栄養管理は、体への炎症を引き起こす高カロリーの砂糖を取らないようにする役目があります。アルコールも体へ負担をかけ、眠りの質を悪くするため、取らないようにするか、いつもより減らしましょう。

5. Remain socially connected. Find support through local caregiver support groups.
周囲や社会とのつながりを思い出す。介護者の会などを通してサポートを得ます

医療的な介護場面に直面していると、友人や家族との社会的なつながりが途絶えてしまいがちです。少しでも孤独感やバーンアウトを感じなくなるような、社会的なつながりを持ち続けることが大切です。

自分は独りではなく、同じような経験をしている人が他にもいるということに気づくことで、自分を労わることができるようになります。病院や地域の団体が家族や介護者のためのサポートグループを提供しているところもあります。

(翻訳・以上)

 

自分を助ける方法をたくさん持っておくことが大切

だれもわかってくれない、助けてくれないと思えば思うほど、目の前の必要なことに追われて、自分の体や気持ちを置き去りにしてしまう。

家族介護の会や患者会などを探す、という気持ちになるまで、一苦労するもの。私が住んでいた北海道札幌市や、今住んでいる地域にグループがないか、調べてみた。

どのような会なのか、といったことを知るだけでも大きな前進。

(一つの例としてご覧ください。)

ひょうご若年性認知症支援センター
→「認知症の人も安心して暮らせるまちへ〜当事者からのメッセージ」の動画は、社会とのつながりの重要さを感じます。

札幌市家族介護者支援の会
→今回調べてみて、初めて知りました。

 

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