クリームを朝からたくさん食べた。ふわふわのクリームがスポンジケーキの生地に重なっている。さらに、それがお餅で包まれている。甘くてなめらかなクリームは、心がうっとりするくらいおいしい。
甘いお菓子って、味はもちろん、食感もとても大事だと思う。そして香り。私は10年くらい前に、ALSという脳から筋肉への指令がいかなくなる難病と付き合うおじさまの自宅に遊びに伺っていた。おじさまは甘いものが好きだったので、差し入れにショートケーキを持って行ったことがある。ALSは進行して、最終的に食べたり飲んだり、表情を作ったりする筋肉も動かなくなる。そのため、その方の場合は、食べ物をペースト状にして食べていた。
私は、差し入れで持って行く前に、ペースト状にしたショートケーキってどんな感じだろう?と、自分用のショートケーキをペースト状にして食べてみた。普通に食べている私たちは、フォークに刺して食べるが、スポンジとクリームは形状分かれているし、イチゴも食感を楽しめる。おいしいのかな?ちょっと疑った。
グチュグチュと潰したあと、恐る恐る口にする。すると、香りが引き立っていて、クリームのなめらかさがいつもより感じた。これは、おいしいケーキかおいしくないケーキか、すぐにわかってしまうほど、舌に強く味を感じた。
これはやってみないとわからない世界だった。それからというもの、ムースやケーキなどはおいしいケーキ屋さんからしか買っていない。きっと、ケーキ屋さんの運命が分かれるだろう。ALSの方などの舌は肥えているのだから。
