青い海の上の無数のきらめきが、私のことを迎えてくれた。
私の車椅子は、那覇空港についた瞬間、汗をかき始める。11月、関西では冷え込みが強まってきた頃、『うんちを出して「車いす」を脱ぐ』を片手に飛行機に乗り込んだ。
本当に半袖でいいのか半信半疑だったが、飛行機から降りた瞬間、暖かい空気が肌に触れて、筋肉の緊張がいきなり和らいだ。
今回、沖縄県の南部にある「くじらブックス&Zou Cafe」さんで、私のウンチの本の読書会を開いてくださることになった。それも、10年以上会っていなかった、バングラディッシュの旅で一緒だったRinaさんが、ウンチの本のことを知って読んでくれて、沖縄に住んでいる彼女は、私の存在やウンチの本について知ってほしいという思いで、企画してくれた。
とてもうれしかったのは、私がお話しする場所について、私の雰囲気や伝えたいこと、伝えたい相手など、あらゆることを考えて、最も良い環境を作ろうとたくさん悩んでくれていたことだ。人のことなのに、私らしさを表現できるような場所を真剣に考えてくださった。なんて凄いのだろう。
だからこそ、私は生まれて初めて、何も準備をせずに、この場に臨んだ。くじらブックスの店主、渡慶次(とけし)さんとオンラインで何度も顔を合わせて、打ち合わせなのか、おしゃべり会なのか、はたまた帰りがけの雑談なのか、自然な雰囲気の中、途切れのない会話が心地よかった。

当日は、そこのカフェのカレーを食べて、手作りのスパイスカレーで体と心を温めて、そのままそのテーブルが、読書会とお話会の場所になった。ご夫婦やご友人と来られた方、たまたま本屋さんに立ち寄った時にウンチの本を知った方や、子どもに携わるお医者さん、子どもの支援に関わる活動している方々、新聞記者の方など、少人数であるからこそ、顔と顔を見合わせて、思い思いの感想をお聞きすることができた。
率直に書いている私の一つ一つの言葉が、私の想像以上にいろいろな人に影響を与えていた。何より嬉しいのは、自分事として、自分の気持ちや人生について、自分の体について、自分がこれまで障害のある人にどう向き合ってきたのかについて、参加された方々の心の奥底から言葉が溢れていたことだった。それぞれお話をしている姿も、身振り手振りや、息遣い、私に伝えようとする熱意、色々と自分の言葉を模索しながら語っている姿などを見て、なんだか幸せだなぁと思った。
ここでの経験について、まだまだ語りきれていないことがたくさんあって、このブログにもうまく描けるかどうか自信がなくて、だけど、そのままでは一向に書くことができなくなってしまうため、すぐに私は書き始めようと思った。
もっともっと伝えたいことがあるのに、伝えられないような感覚。
それでも、伝えていく伝え続ける。
皆さんに、第二弾を待っているというふうに言ってくださって、いつも自分の部屋のパソコンの前でどうしようと悩んでいたから、そのことについては、もう悩まなくていいのだなと背中を押された。でも、ここからどういう風に書くかは、私次第なのだけれど。
とにもかくにも、沖縄に四日間も滞在できたので、沖縄の空気の暖かさやぬくもり、沖縄に住んでいる人々のゆったりとした、それでいて、なんだかどっしりしている雰囲気を私の体の一部に刻まれたような気がする。
ちょっとでも、1歩進むのがとても大事。
進まなければ、経験できなかったことばかり。
私の沖縄の滞在で、色々と手を貸してくださった方々や、出会って声をかけてくださった方々、わざわざ遠くから車で来られて、時間を作ってくださった方々、くじらブックスさんと渡慶次さん、そして身近にずっとサポートしてくれたRinaさんに心から感謝して、皆さんが元気で居続けることを願って止まないのでした。

