
20代前半に、就職活動のために買ったバッグの話。本題に移る前に、なぜ、就職活動用のバッグは黒なんだろうかと、いまさらながら疑問に思う。とたんに、スーツのことも気になり始め、白のシャツに黒いスーツ、髪の毛は一本にまとめ、長い前髪を横に流してピンで留めていたことを不思議に思ってしまった。ちなみに、髪の毛の色も黒ときたもんだ。
みんな、似たような服装をしていると、立っているだけでは、同じ人にしか見えない。ただ、目的の場所へ歩いたり、面接などで話したりしたとたんに、振る舞いや話し方の違いがすぐにわかる。もし、いろいろな服装をしていたら、採用する側から見ると目移りしてしまって大変そうだ。就職活動をする側も、自由な服装で来てくださいと言われたら、考えることがさらに増えて大変そうだ。黒ばかりで息苦しいなどと難しいことを考えず、それはそれでいいのかもしれないと思った。
最近、学生時代の旧友とばったり会った。相手は働いている最中であった。スーツを着ている姿は、少し疲れているように見えた。案の定、話を聞いて見ると、「生きているだけでしんどいよね。」と仕事と生活の両立の大変さをあらわにしていた。残業も多く、帰るのも遅いらしい。
相手は、私と同じように車いすに乗っている。そう言えば、何かの新聞記事で「体に負担のかかる姿勢の第一位は、座っている状態の前かがみ姿勢です」と書いてあった。車いすで移動し、仕事もしている人は、まさに16時間以上もその状態のままで過ごしている。私たちにとっては、それが普通の状態なので、つらいな〜などと考えてもいられない。でも、確実に、体や心に負担がかかっているのである。それはそれでいい、などとは言えないのだ。
難しいことは考えなくていいと思うが、いつの間にか負担になっていることは、早めに気がついた方が良さそうだ。就職活動は一時的な行動だが、実は、働いた後にも、影響を与えていることなのかもしれない。「こうしなければならない」という息苦しさと、自分の持っている自分だけの価値観を抑制する力が、働いてからも影響しているのだとしたら、そのときは、自分のことを考える時間に当てた方がいいのではないかと思う。
このカバンは、最近まで残しておいていた。何かブログを書けるかもしれないと写真を撮ってから、すぐに手放した。今はもう必要ない、懐かしいものだ。