すぐ書き始める。このエッセイは、あいうえおの五十音の順番で、一文字のひらがなから書き始めている。私は、昔から文章を書くのが遅くて、出だしがとても苦手だった。出だしからほぼ文章の運命が決まってしまうような感覚で、最初からプレッシャーを感じていたのかもしれない。今は、このエッセイを始めてから、いつも開始15分くらいでインターネット上に出してしまう。とにかく出す、とにかく出す。
相手を傷つけてしまいそうなことは慎重に書くべきだと思うが、そのほかは、あまり臆病になってはいけないと思った。見る人がどう思うかなんて、わかりっこない。だって、人それぞれ違うのだし、読むタイミングによって感じ方が違うのだから。
図書館で本をたくさん眺めていると、いろいろな作者の思いや背景が詰まっていて、タイトルだけ見ていてもエネルギーを感じる。ふと、残りの人生で何冊まで本が読めるのだろうと考えた。よくSNSで速読の方法があると宣伝しているが、たくさん読めばいいかといえば、一概に言えないと思うから、速読は興味はあるけれど、いやいや違うなと思ってしまう。私は、文字を追うのが好きで、ちょっと戻ったり、いきなり後書きから読んだりと、私なりに本を楽しんでいる。
いつものおじいちゃんの喫茶店へ行ったら、大江健三郎や安部公房の本を勧められた。おじいちゃんが10代や20歳くらいに貪る(むさぼる)ように読んでいた本だという。その時代に貪った本を読んでみようと持ち帰った。
