あいうえおエッセイ

ささやかな幸せは気持ちをゼロにするところから

ささやかな幸せはどうやって見つけるのだろう。そんな幸せ、私にはないよ…とすねていた時があった。他の人のちょっとした幸せを見ていると、つかめない大きな幸せのように錯覚していたのだ。そんなとき、私の顔を鏡で見ると、やつれたような、少し切ない顔をしている自分に気がついた。どんなに周りに励まされても、どんなに好きな食べ物で自分でご機嫌を取ろうとしても、何も説得力を感じられない。YouTubeやSNSなどで、「ズボラな私の生活」だとか、「何もしないだらけた自分」だとか発信しているものを見て、今以上にどん底にならないように保っている。

今は、前よりもノーマルというか、フラットというか、可もなく不可もない気持ちでいる。以前は、気持ちを上げなくちゃ、モチベーションを上げなくちゃと思っていた。もちろん、上げたいときはなんでも上げたら良い。部屋の模様替え、化粧をしてみる、新しいことをしてみる、友人に会うなど。気持ちを上げているとき、数字でいうと10とか80とかだったとしたら、その前に気持ちをゼロにするから、その数字が際立つのだと思うようにしてみた。

あまりいろいろな刺激を自分に与えずに、無になる。感情がないと、自分がどうにかなってしまうのではないかと心配になる。でも、それも、誰かに見られるという前提があるからであって、一人でいれば感情がなくても心配ない。1日のどこかで、1週間のどこかで、1ヶ月のどこかでリセットをすることを心がけるようにしている。

気持ちをゼロにするところから、ささやかな幸せを感じやすくなると思う。ゼロからだったら、1上がっただけでも変化に気づく。80をずっと保とうとしていると、81では物足りなくなってしまうだろう。上がった状態を保つだけでも、負荷がかかっているから、少し上がったくらいでは気がつかないと思う。一度ゼロにしたとき、一輪のお花がリビングに来ただけでも、空気が明るく変わる瞬間まで感じるようになると信じている。

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